池田眞美子 (IKEDA MAMIKO)
フリーランスヘアメイク
秋田県出身。美容師として活動したのちに田村俊人に師事。2019年に独立し「NEW LOOK」設立。同年に「Paris Collection SEPERUDU 2020SS」参加。2021年美容ライターとしても活躍中。
ヘアメイクの流儀
こだわりを捨てる
池田さんがヘアメイクになったきっかけを教えてください
私のヘアメイクを目指したきっかけはたぶん他の人達とは違くて、姉にメイクをしてもらったことがきっかけでメイクにのめり込むように研究をしだしたことです。
当時の私は部活少女で、「部活一筋!」って感じで(笑)
バレーボールをやっていたんですけど、中学2年生の頃に膝の前十字靭帯を断裂してしまったんです。
その時人生で初めて挫折を味わいました。
163cmしか身長がなくて唯一誇れるのがジャンプ力の高さだったんですけど足を怪我してしまったので「あー、バレーボール人生終わったな」ってなってて。
他の事に取り組むと言ってもやる気もあんまりなく、この先どうしようか悩んでた時に姉に「まみこ、メイクしてあげるよ」って言ってもらってメイクをしてもらったんです。
その時の感動が忘れられなくて、のめり込んだのがメイクの仕事を目指すきっかけになりました。
ヘアメイク現場に入る時の魅力は?
私は広告や映画などの現場が多いのですが、皆で作品を作りあげるのがとても楽しいです。
学園祭のわちゃわちゃしたかんじというか(笑)
一難去ってまた一難みたいなのがほんとに大変だし、「もーやだ!」みたいになるんですけど改まって思い返すと「大変だったけど楽しかったな」って思えるのがこの仕事の魅力かなと思います。
ヘアメイクとして心掛けていることは?
流儀と一緒なのですがこだわりを捨てることです。
「これが可愛いから!」ってこだわりを持つのもすごい素敵な事だと思うんですけど、カメラの前に立つ時にモデルさんやアーティストがいかに気持ちよく出れるかのほうが私にとっては大事なんです。
「こっちのほうが可愛いと思う」みたいな意見はどんどん聞き入れちゃいます(笑)
美的感覚って人それぞれ違って「それも可愛いよね!」って寄り添ってあげることもヘアメイクにとっては大切な感覚だと思ってるので、いかに演者さんに寄り添ってあげて信頼関係を築いていけるかなどの部分を心がけています。
ヘアメイクの楽しさと逆に辛かったことを教えてください
後味が良くなるように先に辛かった経験から言います!(笑)
辛かった経験はアシスタント時代です。
私のお師匠さんはかなり厳しい人で、「こんなヘアメイクしかできないんだったら今すぐ辞めちまえ!」って泣くまで怒られたこともあります。(笑)
でも今振り返ってみると私も当時の自分に同じこと言っちゃうかもです(笑)
下手くそだったので(笑)
でもその時に「僕、努力って言葉嫌いなんだよ。だって努力ってしんどいってことでしょ?好きでヘアメイクしてるのにしんどいことしないといけないならやる意味ないじゃん。
でもヘアメイクは好きなんでしょ?だったら努力をしないで好きなことをやり込むだけじゃん。」って言われたんです。
それが当時は衝撃的で。
私は努力しないとヘアメイクってなれないと思ってたんですよね。
この時に「この人は私と価値観がかなり違う人だ。きっとついていけば何か学べるはず。」って思ってとりあえずは1年続けてみようと思ったんです。
1年続けてみて何も変わらなかったら辞めようって。
結局3年お師匠さんの下につかせていただきました。
厳しいけど色々なことをほんとに学ばせていただきました。
ヘアメイクの楽しさは自分でお仕事をいただけるようになって、色んなヘアメイクさんと交流するときです!
私の知らないアイテムとか持ってたりするので「それ何ですか!?」って聞きまくります(笑)
情報交換ができるのもすごく楽しいです。
あとは作品が出来上がったときですね。
ヘアメイクしてる最中よりも出来上がった作品を見るときのほうが楽しいです(笑)
これからヘアメイクを目指す学生へメッセージをお願いします
苦手意識をなくすことってとても大事ですよ。
私の経験談なんですけど、アシスタント時代はほんとに「女の子のメイクしかしない!」とか「ファッション誌したい!」が強くて男性のメイクとか映像のメイクって苦手意識がすごく強かったんです。
それで大物男性タレントさんのメイクの仕事とかも「やらない?」って声かけていただく機会とかもあったのにできる自信がなくて蹴ってたりしてました。
今思えばほんとにもったいないことしたなって。
それである日お師匠さんの現場で芸人さんや男性タレントさんのメイクを担当することになって。
嫌でもやらなきゃいけなかったので、やってみたら「あれ、思ってたよりできるぞ?」ってなりました。
そこからは自信がついてどんな現場も受けさせていただいてます。
今では男性メイクするのも好きだし、映像のお仕事しかしてないです(笑)
なのでどんな技術も苦手意識を捨ててどんどん挑戦してみてほしいです。
案外苦手意識を持ってたものが向いてたりするなんてこともあるので!
最後に、池田さんの究極の最終目標は?
トータルビューティで綺麗になる人が増えればいいなと思っています。
ヘアメイクで人の人生って変えられないと思うんですけど、その人が生きる世界って変えられると思うんです。
たとえば綺麗にメイクが出来たら髪の毛も綺麗にセットしたくなりますよね?
そしたらたぶんオシャレな服も着たくなってネイルもしたくなってこれだけ綺麗になれたらどこかお出かけしたいなーとか行動の幅が広がっていくんと思うんです。
行動の幅が広がることで新しい出会いや発見などもあるかもしれない。
そんな風に人の世界を変えていけたらなと思っています。
それは私がメイクをするとか関係なく、美容業全体の人達でやっていきたい。
それが私の最終目標です!